
家庭用殺虫剤の安全な使い方|比較前に読むチェックリスト
家庭用殺虫剤は、成分名の「強い・弱い」ではなく、手元の製品表示にある対象害虫、使用場所、方法・量、退避・換気、禁止事項が実行できる時だけ使います。事故が起きた後は表示確認より先に、119番が必要な状態かを分けます。
先に結論:事故後と使用前を同じ手順にしない
| 現在の状態 | 最初の行動 | 次の確認 |
|---|---|---|
| 意識がない、けいれん、呼吸がおかしい、急な呼吸困難がある | ただちに119番に通報する | 指令員の案内に従う。商品確認や中毒110番を先にしない |
| 吸い込んだ、眼・皮膚に付いた、口に入ったが、意識と呼吸に異常はない | 使用を止め、再ばく露を避けて経路別の初動を行う | 製品を確認し、症状がある、手当て・受診判断が不明なら中毒110番または医療機関に相談する |
| 事故はないが、対象害虫・使用場所・量・退避等が分からない | 使用しない | 現品表示、説明書、メーカー窓口で確認する |
| 事故はなく、表示条件をすべて実行できる | 使用前・使用中・使用後・保管を分ける | 現品表示どおりに使う |
日本中毒情報センターは、家庭での応急手当を、意識があり、呼吸と脈拍に異常がない場合の行動としています。意識がない、けいれん等の重い症状がある場合は、直ちに救急車を呼ぶよう案内しています。厚生労働省も、急な息切れ・呼吸困難等を、すぐ救急車を呼ぶ症状として挙げています。
意識・呼吸の異常は中毒110番より119番を先にする
次のような状態では、原因物質や商品名を確定するために連絡を遅らせません。
- 意識がない、呼びかけへの反応がおかしい。
- けいれんしている。
- 普段どおりに呼吸していない、急な息切れ・呼吸困難がある。
- 顔色が明らかに悪い、普通に話せない。
119番には、現在地、年齢、事故が起きた時刻、意識・呼吸の状態、分かる範囲の製品名とばく露経路を伝えます。商品を取りに、薬剤が充満した部屋や火気等の危険がある場所へ戻りません。通信指令員から応急手当の案内があれば、その指示に従います。
重い症状がない時は、ばく露経路ごとに初動を分ける
次の表は、意識があり、普段どおりに呼吸し、重い症状がない場合の初動です。どの経路でも使用を止め、救助する人が同じ薬剤にばく露しないことを優先します。
| ばく露経路 | 最初の行動 | しないこと・次の連絡 |
|---|---|---|
| 吸い込んだ | 再び吸い込まないよう、きれいな空気の場所へ移動する | 危険な室内へ戻らない。症状がある、受診判断に迷う場合は中毒110番または医療機関に相談する |
| 眼に入った | こすらず、すぐ流水で10分間以上洗う | 洗えない、コンタクトレンズが外れない場合は無理をせず、すぐ受診する |
| 皮膚に付いた | 付着した衣服を脱ぎ、すぐ大量の流水で洗う | 症状が残る場合は中毒110番または医療機関に受診判断を相談する |
| 食べた・飲んだ | 口に残る物を取り除き、可能なら口をすすぐ。製品を確認する | 家庭で吐かせない。水や牛乳を一律に飲ませず、中毒110番に製品別の手当てを確認する |
応急手当を行っても症状がある、必要な手当てや受診の判断が分からない場合は、中毒110番または医療機関に相談します。途中で意識・呼吸の異常、けいれん等が現れた場合は119番に切り替えます。
一般的なアレルギー症状、薬剤事故、通常受診、室内環境整備の分け方は、アレルギーが気になる家庭の虫対策でも確認できます。
中毒110番が扱う範囲を確認する
日本中毒情報センターの中毒110番は、化学物質や動植物の毒等による実際に起きた急性中毒事故について情報提供する窓口です。事故前の商品選び、慢性的な症状の診断、通常量の医薬品による副作用、ペットの中毒相談までは対象に含まれません。
相談時は、次の事実を分かる範囲で伝えます。
- 患者の年齢、体重、現在の意識・呼吸・症状。
- 正確な商品名、会社名、用途。
- いつ、どこで、吸入・眼・皮膚・経口のどの経路から起きたか。
- 使用量・噴射回数・残量等から分かる範囲。
- すでに行った洗浄や移動等の初動。
電話番号と受付条件は、日本中毒情報センターの現行公式ページを確認します。人ではなく犬・猫・その他の動物に異変がある場合は、製品名とばく露状況を控えて動物病院に相談します。
使用前は現品表示から条件を埋める
確認にかける時間を固定せず、手元の製品で次の項目が埋まるまで使用しません。外箱を捨てた、表示が読めない、別容器に移して製品を特定できない場合も使わない判断にします。
| 確認欄 | 現品表示・説明書から読むこと |
|---|---|
| 製品の特定 | 正確な商品名、剤型、用途、メーカー窓口 |
| 対象 | 対象害虫、対象外の虫、人や動物に使う製品かどうか |
| 場所 | 屋内・屋外、部屋、面、素材、使ってはいけない場所 |
| 方法・量 | 直接噴射・空間使用・設置等の区別、回数、設置数、部屋条件 |
| 使用前 | 人・子ども・ペット・飼育生物の退避、食品・食器・寝具・玩具等の保護、火気・設備 |
| 使用後 | 再入室、換気、乾燥、拭き取り、清掃、報知器等の復旧 |
| 保管・廃棄 | 元の容器、誤噴射防止、保管温度、火気、廃棄方法 |
厚生労働省の家庭用品・製品安全確保マニュアルには、家庭用不快害虫用殺虫剤の改訂版手引きが掲載されています。ただし、家庭で使う時の正本は購入した製品の現行表示です。別製品や別剤型の回数、退避、換気、清掃方法を転用しません。
使用前・使用中・使用後・保管を分ける
| 時点 | 行うこと | 使用を止める条件 |
|---|---|---|
| 使用前 | 対象・場所・方法・量を読み、人や物を表示どおり退避・保護する | 対象が不明、退避・保護・換気・火気対策を実行できない |
| 使用中 | 噴射方向、設置場所、回数・量、火気等の注意を守る | 誤噴射、漏れ、容器異常、眼・皮膚への付着、体調変化がある |
| 使用後 | 表示された再入室、換気、乾燥、清掃、設備復旧を行う | 再入室条件が不明、におい等を安全判定の代わりにしている |
| 保管 | 元の容器と表示を保ち、誤使用されず、表示の温度・火気条件を守れる場所に戻す | 飲食物容器に移す、子ども等が開けられる、製品を識別できない |
消費者庁は、子どもがスプレーを顔に噴射した、置き型殺虫剤をなめた、虫よけと殺虫剤を取り違えた事故例を紹介しています。使用方法と用量、噴射方向を確認し、手の届かない保管、誤噴射防止ロック、用途の違う製品を分けることを確認します。
剤型ごとに同じ注意を転用しない
エアゾール・ワンプッシュ
虫に直接噴射する製品、空間に噴射する製品、人体に使う虫よけは別物です。対象、噴射方向、回数、使用場所、火気・高温、付着を避ける物、換気・拭き取りの表示を製品ごとに読みます。ワンプッシュ式でも、退室や換気が不要とは一律に判断しません。
くん煙・くん蒸タイプ
部屋の条件、人・ペット・観賞魚・昆虫等の退避、食品・食器・寝具等の保護、火災報知器やガス機器、密閉時間、再入室、換気、清掃、設備復旧を一組で確認します。一項目でも実行できなければ使用しません。剤型の違いはくん煙剤とワンプッシュの比較で扱います。
毒餌・置き型・捕獲器
空間に噴射しない製品でも、内容物・粘着面・捕獲した虫への接触や誤食を防ぐ必要があります。家具を動かす、掃除で手前へ出る、容器を開ける、かじる等の行動まで確認し、設置数と回収場所を記録します。
肌用虫よけ
家庭用殺虫剤を肌に転用しません。人体に使う忌避剤は、対象害虫、対象年齢、使用回数、塗布部位等の現品表示を確認します。成分比較はディートとイカリジンの違いで扱います。
子ども・ペット・飼育生物は実際の行動で判定する
一律の高さを安全線にしません。現在できる行動と、製品が移動する経路を確認します。
- 子ども: よじ登る、椅子や玩具を動かす、引き出し・ロック・容器を開ける、口に運ぶ。
- 犬・猫: 鼻や前足を入れる、家具上に移る、容器をかじる、付着した足や被毛をなめる。
- 鳥・小動物・昆虫: ケージの退避条件、餌・水・床材への付着、換気後に戻す条件を確認する。
- 観賞魚・両生類・爬虫類: 水面、器具、エアポンプ、吸気、退避・養生条件を製品表示から確認する。
- 退避や換気に介助が必要な人: 使用前から別の担当者と移動・再入室の工程を決める。
条件を満たせない場合は、清掃、食品・ごみの密閉、網戸・すき間補修、回収を管理できる捕獲具等の薬剤なしの対策に切り替えます。水槽がある部屋は飼育生物と殺虫剤の注意も確認してください。
市販品を追加せず相談する条件
次の場合は、別の薬剤を重ねて結果を確かめません。
- 虫や発生場所を特定できず、対象表示を照合できない。
- 壁内、床下、天井、高所、共用部等で、表示どおり作業できない。
- ハチの巣、シロアリ被害、トコジラミ疑い、大量・複数室の発生がある。
- 人・動物・飼育生物の退避、食品等の保護、換気、設備復旧ができない。
- 使用中または使用後に体調変化や誤使用が起きた。
虫体や痕跡は安全にできる範囲で写真に残し、虫を見分ける観察手順、管理会社、メーカー窓口、市販品と専門業者の分け方の順に相談先を選びます。事故が起きた場合は害虫相談より119番・中毒110番・医療機関を優先します。
使用記録は事故時に伝えられる事実を残す
使用した場合は、正確な商品名、使用日時・場所、回数・量、退避・換気・清掃、使用者と在室者を記録します。事故が起きた時は、吸入・眼・皮膚・経口の経路、症状、発生時刻、残量、実施した初動も追記します。
固定個数のチェックを埋めること自体を目的にせず、現品表示を実行できたか、異常時に医療者や中毒110番に事実を伝えられるかを完了条件にします。
公式情報
- 厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」
- 総務省消防庁「119番緊急通報」
- 日本中毒情報センター「中毒事故が起こったら」
- 日本中毒情報センター「中毒110番・電話サービス」
- 消費者庁「虫除けスプレーや殺虫剤の事故に注意しましょう」
- 厚生労働省「家庭用品、製品安全確保マニュアル」
確認日: 2026-07-30
FAQ
殺虫剤を吸い込んで呼吸がおかしい時も中毒110番に相談しますか?
中毒110番を先にしません。普段どおりに呼吸していない、急な呼吸困難、意識の異常、けいれん等があれば、ただちに119番に通報します。商品を取りに危険な部屋へ戻らず、分かる範囲の製品名とばく露状況を伝えます。
吸い込んだものの、意識と呼吸に異常がない時はどうしますか?
使用を止め、再び吸い込まないよう、きれいな空気の場所へ移動します。症状がある、受診判断に迷う場合は、製品名とばく露状況を確認して中毒110番または医療機関に相談します。
眼に入った時はどうしますか?
眼をこすらず、すぐ流水で10分間以上洗います。洗えない、コンタクトレンズが外れない場合は無理をせず、すぐに受診します。意識・呼吸の異常等があれば119番を優先します。
飲んだ可能性がある時は吐かせますか?
家庭で吐かせません。口に残る物があれば取り除き、可能なら口をすすぎます。水や牛乳を一律に飲ませず、正確な製品名、量の見当、時刻、年齢・体重、現在の状態を中毒110番に伝えて手当てを確認します。
多めに使えば早く効きますか?
表示より量や回数を増やしません。足りないと感じる場合は、対象害虫、使用場所、発生源、剤型が合っているかを見直し、追加使用前にメーカー窓口や専門業者に相談します。
使用後は床を拭けば再入室できますか?
一律には決められません。再入室、換気、乾燥、拭き取り・清掃は製品と剤型で異なります。においの有無や床拭きだけで安全を判断せず、現品表示の条件をすべて確認します。